研究課題
ペプチドは摂取後大部分が短時間でアミノ酸にまで分解されるため、in vitroでの活性は直接生理体内での活性に結びつかない。そのため経口摂取後ヒトの末梢血に移行するペプチドの同定を試みた。コラーゲンには他のタンパク質にはほとんど分布していないハイドロキシプロリン(Hyp)が存在する。一晩絶食後のヒト末梢血中には有意な量のHypペプチドは存在しないが、10-25グラムのゼラチン酵素分解物を摂取したヒトの末梢血には20-100nmol/mlのHypを含むペプチドが存在するため、末梢血中に確実に食事由来コラーゲンペプチドが存在する。この末梢血から血漿を調製し、3倍量のエタノールを加え、内因性タンパク質を沈殿除去した。このエタノール可溶性画分を常法である、逆相HPLCで分画したところ、非常に多くの妨害ピークが出現し、食事由来ペプチドの同定は不可能であった。そのため、1.5ml容量の遠心チューブ上のカラムに強カチオン交換樹脂であるAGW50X8を充填したミニスピンカラムを調製した。エタノール可溶性画分を最大8mlまでカラムに注入し、吸着したペプチドを7.5Mアンモニア-50%メタノール溶液で溶出し、400ulに濃縮・清澄化することに成功した。このペプチド画分をゲル濾過クロマトグラフィーで分画後、逆相HPLCでの分離と検出の改善を目的としてフェニルイソチオシアネートで誘導化した。ペプチドの誘導化物は0.01%トリフルオロ酢酸とアセトニトリルのグラジエント溶出によりアミノ酸等の他の成分と分離することに成功した。分離されたフェニルチオカルバミルペプチドは、切断反応から開始するようにプログラムを変更したエドマン分解に基づくペプチドシーケンサーにより構造の同定も可能となった。以上の結果より、生体内で実際の活性を持つペプチドの候補を得ることが可能となった。
すべて 2007 2006
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