研究課題
大豆等に豊富に含まれる植物エストロゲンであるイソフラボンについてその疾患予防効果について基礎研究から臨床疫学的研究にわたり検証した。特に最近注目されているダイゼインをエクオールに代謝出来る人(エクオールプロテューサー)と出来ない人(エクオールノンプロデューサー)の意義づけを踏まえて以下の解析を行った。ゲニステイン、ダイゼインおよびダイゼイン代謝産物であるエクオールについて複数のin vitroの解析(レポーター遺伝子アッセイ、受容体との結合実験、メダカを用いたビテロジェニンアッセイ、MCF7細胞を用いた増殖能アッセイ)でエストロゲン活性を有していることを確認しこの活性はエストロゲンのアンタゴニストの投与にて完全にキャンセルされた。特にダイゼインはエストロゲン受容体の2つのサブタイプのうちβに対して強い活性を示した。またレポーターアッセイ系においてPPARγ活性も認められた。一般健常人におけるエクオールプロデューサーの頻度を調査したところ男性で約30%、女性で約25%だった。更にエクオール産生能と各種の臨床パラメーターとの関連解析では尿中にエクオール排泄が確認できる人の方が検出出来ない人にくらべBMI,血中レプチン濃度、血中高感度CRP濃度の有意な低値を認めておりメタボリック症候群に対して有利に作用する傾向を認めている。以上のことより大豆の摂取で含まれているイソフラボンのエストロゲン作用によって種々の疾患予防効果かもたらされる可能性が十分にあると考えられる。
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