本研究は、2つの柱からなっている。第一に、世界的に最も進んでいるといわれている視覚障害生徒に対する理科授業の実際を分析し、視覚障害者を対象にした固有で優れた教授・学習ストラテジー、教授・学習モデルを抽出・整理・系統化をはかるとともに、事例をデータベース化しその特質を探ることを目的とする。第二に、上記の教授・学習ストラテジーのなかから、健常者に対する理科授業に活用可能な教授・学習ストラテジーを抽出し、その有効性について実証的に検討することを目的とする。そのうち、平成19年度は、前年度に続き、第一の目的に対応して、筑波大学附属盲学校の理科授業、特に、実験活動を導入した物理授業を中心にビデオ収録し、授業内容とそれに対応した実験活動及び授業全般における教師の教授活動と生徒の学習活動の両面及びその相互作用から視覚障害者を対象にした固有な優れた教授・学習ストラテジーを探る研究を進めた。また、特殊教育から特別支援教育へという制度改革に対応して、理科教育としての対応をシステム化すべく基礎的研究を進め、関係学会で発表し、論文を作成した。さらに、附属特別支援教育学校の研究分担者及び研究協力者は、理科機器メーカー及び工学系の専門家の知見を踏まえ、引き続き視覚障害生徒用の測定機器の開発を進めた。
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