研究課題/領域番号 |
18650246
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
木下 徹 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (90177890)
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研究分担者 |
福田 ムフタル 名古屋産業大学, 環境情報ビジネス学部, 准教授 (20283517)
後藤 明史 名古屋大学, 情報メディア教育センター, 准教授 (50225645)
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キーワード | 教育心理学 / 言語習得 / マルティメディア / ロボット / アウトプット |
研究概要 |
本研究は元来の目的は、第一義的には、従来の多くのL1,L2学習用教材が、認知面を中心とするコンピュータソフトであるのに対し、喜怒哀楽の情意面の反応が相対的に豊かで、音声による対話と実際の移動や四肢の上下運動が可能であるロボットを使用することの可能性を探求することである。第2は、インプットと並んで、L1・L2習得に重要とされてきた(対話相手に)理解可能なアウトプットに関して、ロボットの使用で、真の意味ではアウトプットを理解しえない相手の場合を設定することでより重要なのは対話相手に理解されたと学習者が認識することではないのかという仮説を検証することである。しかし、試験的運用の結果から、幼児や児童を中心とした実験参加者に対して、ロボットの移動や運動による不慮の事故の可能性が否定しきれないため、対象を暫定的に大学生以上の学習者とし、目的も、L2学習へのロボットの応用の基礎研究とし、人間を相手とした場合との比較により、ロボットを対象とすることの特徴を探求することにシフトした。 昨年度、学習者の反応を、主として、視線行動を中心に分析した結果、ロボットを擬人化する程度により、視線行動に対人・対ロボットで異同が見られた。本年度は、同様の実験を、主として脳血流にみられる違いから探求した。また、擬人化の度合いも昨年度同様に調査した。しかし、データの分析は脳血流測定装置の調達の都合、および、実験参加者、協力者の動員の便宜から、本年度3月に主たる実験を行わざるをえなかったので、現在進行中である。予備的分析からは、擬人化の程度は、昨年度と比較してやや弱く、自分の発話をロボットが理解していると認識する度合いも低い傾向が見られる。また、視線行動と同様、擬人化の程度により、対人コミュニケーションに類似するパターンと、その逆のパターンの存在が示唆される。ただし、詳細は今後のデータ解析の結果による。
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