研究課題
今年度は2回の海外発表、7件の論文発表に加え、専門雑誌からの依頼原稿に掲載した。類型語の基本概念と本研究データの応用として、手話入出力ロボットの製作、手話記述システム、手話語構造、手話統語構造の研究に応用できる可能性を示した。類型語研究は手話の形態構造の解明に貢献するが、手話の形態構造は3次元構造をもつため音声言語の形態構造とはまったく違うため、従来の言語学が想定してきた意味構造を研究する上で、認知構造が異なることを示した。またアメリカを中心とする手話学では表情、姿勢などの非手指信号(NMS)が統語標識であるという見解に対し、日本手語のNMSの多くはジェスチャーであることを指摘、日本手話の主たる文法は統語構造でなく、形態構造にあることを示した。そしてその母語話者たる聾者は言語的認知が異なる可能性を示した。その証拠を収集するべく、メカニカルなロボットにより手話の動きと位置のデータを収集し、各要素の閾値を確定することで形態音素論的な立場により日本手話の文法標識を抽出する研究の構想を示した。このロボット入力装置は同時に手話出力も可能なので手話要素認識実験にも応用できる。またここで収集されたデータは手話翻訳、手話提示などの手話関連研究の基礎資料を提供するので、応用ははかりしれない。メカニカル・ロボットは手話にとって重要とされてきた表情や手の形が表現できないという欠点が逆に手話認識における両者の機能を明らかにする。メカニカル・ロボットによる出力での認識率が高ければ、従来の仮説とは異なり、位置と動きの情報が識別機能として作用していることを示す。またデータグローブや画像認識による認識システムのような情報の爆発を抑え、閾値の確定はやさしい。本研究は従来の手話認識システムとは全く異なる方式の認識システムの構想を提案している。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
電子情報通信学会信学技法WIT2007
ページ: 41-44
Human Interface2007 論文集
ページ: 461-464
Human Interface 2007論文集
ページ: 465-470
電子情報通信学会和文誌D Vol.J90-D,No.2
ページ: 609-616
日本手話学会第33回大会予稿集
ページ: 17-20
ページ: 9-12
ページ: 13-15