研究課題/領域番号 |
18650258
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
小松 美彦 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (90266239)
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研究分担者 |
香川 知晶 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (70224342)
土井 健司 関西学院大学, 神学部, 助教授 (70242998)
廣野 喜幸 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90302819)
田中 智彦 東京医科歯科大学, 教養部, 助教授 (30288039)
中島 理暁 秀明大学, 総合経営学部, 講師 (50364956)
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キーワード | 倫理学 / 思想史 / 生命倫理 / 医療倫理 / 科学論 |
研究概要 |
初年度に当たる本年度は、米国のバイオエシックスの成立史に関する基礎的な分析を行った。検討文献と担当者を決め、基本的に全員が文献を事前通読した上で、計5回約5時間ずつの研究会と1泊2日の合宿の中で、レジュメ発表・討議という形で遂行した。具体的な検討内容は、第1に、バイオエシックスの成立史を論じた米国の文献のメタ分析であり、対象としたのは、J.K.Walter and E.P.Klein eds.,The History of Bioethicss(2003)他10本程度の論著である。第2は、バイオエシックス成立の記念碑と目されてきた、W.T.Reich ed.,Encyclopedia of Bioethics 1^<st>ed(1978)と、同書第2版・第3版との比較である。主に項目事項とそれらの割当頁数の変化を調べ、その一部をデータベース化した。この目的は、既存の成立史研究に左右されずに、生のバイオエシックスの推移とそれを通じての誕生時の特性を知ることにある。以上の作業により、次のような暫定的な新知見を得た。 1.従来、バイオエシックスの成立要因として、先端医療の登場、人体実験規制の流れ、1960年代の米国の市民運動などが挙げられてきた。だが、新たに、(1)第2バチカン公会議を初めとする60年代のキリスト教内部の改革、(2)左記と連動したキリスト教的な旧来の医療倫理の世俗化の必要性、(3)人口問題と環境問題が予想以上に深刻視されていたこと、これらが想定できる。 2.EDcyclopedia of Bioethicsにあって、その第1版では、新規先端医療に関する記述は存外に少なく、キリスト教倫理に伝統的な生殖や死に関する事柄、および人口問題に力点が置かれている。が、第2版以降は前者の割合が増えた。この調査結果は、上記1の仮説を実証している可能性がある。
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