研究課題
遺跡の発掘調査にともない出土する木製品や自然木は通常、出土木材と呼ばれている。長い年月にわたり土中に埋没している間に、木材自身は著しく腐朽している。そのため腐朽して流出した木材細胞壁成分は水と入れ替わり、非常に高い含水率状態で発見される場合がほとんどである。こうした出土木材をひとたび乾燥させてしまえば、脆弱な細胞壁は水分蒸発にともなう乾燥応力に耐えられずに変形・収縮を起こし、再び元の形状に戻すことはできない。本研究の目的は、凍結乾燥後は繊維状の多孔質体となるセルロース誘導体を用いて、細胞内こうを支えることにより変形・収縮を抑制し、軽くて丈夫な出土木材を作り出すことである。本年度は以下の点について検討を行った。1.セルロース誘導体の選定水溶性あるいは有機溶剤可溶性のセルロース誘導体の中から、保存処理実験に使用可能なものを選定した。また場合によってはセルロース誘導体の分子量を調整した。2.出土木材の処理水溶性あるいは有機溶剤可溶性のセルロース誘導体を針葉樹(スギ)および広葉樹(クリ)の出土木材へ含浸するとともに、処理材を凍結乾燥した。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件)
木材保存 33・2
ページ: 63-72
Non-destructive evaluation for wood and woody mate rials for development new functional wood-based materials (eds : K.Takata, P.Kitin) (Institute of Wood Technology, Akita Prefectural University)
ページ: 189-197