研究概要 |
本研究では、社会活動から発生する有害化学物質の自主的な管理に役立つ知見を見出すべく、身近な発生源・排出源における有害物質を適切に管理するためのPRTR登録情報の解析と活用を目的として、具体的に以下についての研究を行っている。 (1)有害化学物質のリスク低減につながる毒性重み付けした排出量・移動量の解析手法の検討 (2)有害化学物質の身近な生活圏レベルでの排出量・移動量の解析 (3)有害化学物質の業種別・用途別の排出量・移動量の解析 (4)有害化学物質の自主管理に向けた環境リスクマネジメント手法の提案 平成18年度においては,(1)および(2)についての研究に取り組んだ。事業者や市民・NGOにおけるリスクの理解や管理を早い時期に促進していくため、今後のさらなる検討に多大な時間を要する詳細リスク評価を待つのではなく、既存の毒性情報を国際的に網羅的に収集・整理することにより、現時点でもっとも信頼できる毒性データベースを作成して、毒性の重み付け比較ができる排出量・移動量の解析手法を検討した。また,届出事業者および対象業種のすそ切り以下事業者について、国の定めた45業種ごとの物質別の排出量・移動量を整理して、毒性やリスクを考慮した排出量・移動量の高い市区町村や業種、プロセス等を抽出するための解析手法を検討した。さらに,元情報に乏しい市区町村別などの身近な生活圏レベルでの排出量や移動量のフローを論理推計する方法を検討し、身近な河川などの水環境への排出量をわかりやすく把握するための地図情報システム等の活用可能性を検討した。
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