本研究ではヒトの種々の核内受容体とその核運搬タンパク遺伝子、各々の受容体応答配列を持つレポータープラスミドを酵母に導入し、各種受容体に対する被験物質の結合能を測定するバイオアッセイ系を樹立することを目的とする。 基本的には次の方法で種々のヒト受容体発現レポーター酵母を樹立した。ヒトの受容体を酵母で発現させるため、まず各受容体cDNAを酵母発現ベクターにサブクローニングした。これをインテグレーションベクターに乗せ換えて酢酸リチウム法で酵母に導入、染色体に組み込んだ。また、受容体と結合し核移行を助けるタンパクが必要な場合はその核移行因子のcDNAも同時に組み込んだ。次いでリガンド(化学物質)が受容体に結合した場合に、活性を測定するためのレポータープラスミドを導入し、アッセイ用酵母とした。樹立した各酵母を化学物質に暴露する。被験化学物質(リガンド)が受容体に結合したらベータラクトシダーゼが発現し、培地に添加した発色基質ONPG(ο-itrophenol-β-D-galactopyranoside)が黄色に発色する。発色の強さを分光光度計で測定した。 これまでのAhR、ERαのほか、平成18年度はRXR(retinoid X receptor)、ERβ(Estrogen Receptor β)、THR(thyroid hormone receptor)をそれぞれ発現する酵母をほぼ樹立できた。現在これら酵母の安定性を調べている。
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