研究概要 |
グリセロールは,工業的には油脂のけん化により生産することができるが,近年エコエネルギーとして注目されているバイオディーゼルを生産する際にも副生する。バイオディーゼルの生産は循環型社会形成の一端として我が国を含めて世界各国で研究が進められており,環境保全への貢献度が大きいことから,今後の生産量は増大していくと予測されている。従って,バイオディーゼル生産時の副産物として生成するグリセロールからさらに,効率よく水素が回収できれば,より循環型社会の構築に貢献できる。本研究では,グリセロールの水素生成ポテンシャルを検討するために回分実験を行った。本研究では8つの異なる植種源を用いてグリセロールの水素生成ポテンシャルを検討し,以下の結論が得られた。 1)グリセロールからの水素生成ポテンシャルは低く,糖類を用いた既往研究で得られた水素収率の20〜40%程度であった。最大水素収率は,生ごみを植種源として用いた時に得た2.15mmolH_2/g-glycerolであった。 2)本研究ではグリセロールの水素発酵に及ぼす植種源の影響はほとんど見られなかった。代謝産物では1,3-プロパンジオールが最も多く生成した。続いて酢酸が生成した。酪酸はほとんど生成しなかった。
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