本年度は水素・エタノール複合発酵を効率よく行うプロセスの開発に絞り、水素発酵に及ぼす温度と基質濃度の影響を検討したと共に、水素発酵生成グラニュールの形成を試み、UASB型リアクターを用いた連続実験を行った。具体的な研究成果は次のとおりである。 (1) 水素発酵に及ぼす温度と基質濃度の影響 連続式水素発酵における温度と基質の影響を検討するために、中温(35℃)および高温(55℃)でそれぞれ基質(でんぽん)濃度を変化させて連続実験を行った。その結果、中温条件では安定的水素発酵を継続することが難しかったのに対して、高温条件で安定的水素発酵を行うことができた。またでんぽん濃度は20g/Lの条件で、最大水素収率(2.82mol H2/mol glucose)が得られた。 (2) 水素発酵グラニュールの培養 水素生成細菌が存在するメタン発酵グラニュールと消化汚泥を混合したものを種汚泥として用いて、高温条件(55℃)、pH5.0〜6.0の条件ででんぷんを基質とした水素生成グラニュールの培養を行い、良好なグラニュールを得ることができた。 (3) UASB型反応槽を用いた連続実験 有効容積6LのUASB型反応槽を用いてHRTを48時間、24時間、12時間、6時間、3時間のように段階的に短縮させて連続実験を行い、定期的にガス生成量、ガス組成、代謝産物を測定してHRTの影響を検討したとともに、最大負荷を把握できた。
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