研究概要 |
リン酸系アニオンを含有する水溶液の廃液処理,再利用,長寿命化に貢献することを最終目的とし,水溶液中のリン酸系アニオンのみを固化・除去するプロセスを開発することを目的とした.これには2つの手法でチャレンジした.液の再利用を考慮して溶液のpHは4〜7の中性域とした.高温反応場を液中に形成させ、かつカルシウムイオンを反応場へ供給することでリン酸カルシウム結晶を析出させる手法では,リン酸カルシウム系析出物として固化分離することは可能であったが,リン酸系アニオンを数ppm以下の低濃度まで減少させることは困難であった. 一方,シュベルトマナイト粉末をイオン交換体として使用して,リン酸アニオンを吸着除去する手法では,アニオン種による特異な吸着挙動がみられた.すなわち,リン酸系アニオンはどれもシュベルトマナイト内の硫酸基と置換すること,置換反応はリン酸が最も生じやすく,亜リン酸,次亜リン酸と還元体になるほど反応しにくくなること,置換反応は疑似2次反応によることが明らかとなった.その結果,22gのシュベルトマナイトを用いることで,水溶液中の30mmolの微量亜リン酸を0.1mmol以下にまで減少可能であることが判明した.これは,無電解ニッケルめっき反応によって生じる不要な亜リン酸を除去する新規プロセスにつながるものと期待される. また,シュベルトマナイトは微粉であるため反応後の固液分離に長時間を有するが,ナノマグネタイトをシュベルトマナイトに複合化させることで,磁気分離により容易に固液分離が可能であることも判明した.
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