研究概要 |
高純度シリコンの製造に現在用いられているシーメンス法あるいはモノシラン法は既に完成された技術であり,優れた点は多々あるが,一方で,製造コストが高く,また製造設備を極端に大型化・高度化せざるをえないという問題点をもっ。本研究は製造コストがシーメンス法よりもはるかに低くなると期待される四塩化珪素の亜鉛還元による太陽電池用高純度シリコンのプロセスの開発を目的として行われた。今年度は,反応塔内のガス圧を大気に対してわずかな正圧を保持すること,原料供給量の増量,合成シリコンの収率の増加などを念頭において実験を行った。まず,条件として,四塩化ケイ素を液状のまま反応に供することを試みた。更に,シリコン結晶の系内における成長条件の検討を行った。液状四塩化ケイ素の直接投入は反応を安定きせた。本実験で行った濃厚雰囲気下におけるシリコンの生産量は,直径わずか30mmの反応管であるにもかかわらず,連続運転を仮定すると年2トンに相当する。また,反応管内の温度制御を工夫することにより,シリコンの粒成長を制御できる可能性を見いだした。生成する繊維状ナノシリコンの評価を高分解能電子顕微鏡観察,高精度粉末X線解析,化学分析等の手法により調べた。亜鉛還元法による太陽電池級の高純度シリコンの合成シーメンス法を代替する有力な方法であることがほぼ確認された。2007年度の研究結果をまとめてセラミックス基盤工学研究センター年報2007に報告した。
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