研究課題/領域番号 |
18651042
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
元田 慎一 東京海洋大学, 海洋工学部, 助教授 (10190969)
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研究分担者 |
田畑 博 東京海洋大学, 海洋工学部, 助手 (80323848)
篠原 正 独立法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, ディレクター (70187376)
鷲頭 直樹 独立法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, 研究員 (00354283)
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キーワード | 海洋工学 / 海洋エネルギー / バイオフィルム / バイオリアクター / 光触媒 / 酸化チタン / ゼロエミッション / 生理活性物質 |
研究概要 |
海水中では、微細藻類などを主要構成物とする微生物皮膜の付着により、金属の自然電位が0.4V程度貴化する現象があることが知られている。二酸化チタン被覆金属(アノード電極)の光触媒効果と、この電位貴化現象を組み合わせることで、理論上は電位差1.2V程度のガルバニック対となる。このことを利用し、電池の実用化が達成された場合、非塗装ステンレス鋼構造物の海中没水面全体が電極として利用でき、ひいては海洋構造物全体を利用したゼロソース・ゼロエミッションの電池が構築できることになる。また、微生物による電位貴化現象は淡水でも発生するため、河川水や湖沼水による大型水力発電のみならず局所(マイクロ)発電の補助電源としても利用できる。 今年度に得られている結果は以下の通りである。 1.ステンレス鋼への二酸化チタン溶射方法に関して、当初検討していたゾルゲル法では溶射皮膜表面に均一性が見られなかったが、プラズマ溶射法では、皮膜欠陥密度は非常に小さく、均一・性が良好であることが分かった。このことから、二酸化チタン溶射方法についてはプラズマ溶射法を採用することとした。 2.本学付属研究施設、清水臨界実験実習所において、微生物を付着させたのち、ステンレス鋼試料を引き上げ、実験室に持ち帰って電位計測を行ったが、バルクの変化に伴う電位低下は見られなかった。このことから、一度バイオフィルムが付着すれば、付着場所から距離を隔てた場所での電池の構築を視野に入れることができると考えられる。 3.表面電位計を用いて、バイオフィルム電極の電位計測を行った結果、同一面内で±0.7V程度の局所的な電位差が発生することが確認された。このことから、バイオフィルムの生理活性物質の濃淡と電位分布には相関関係があると考えられ、さらに調査を進める。
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