研究概要 |
海水中では微細藻類などを主要構成物とする微生物皮膜の付着により金属の自然電位が0.4V程度貴化する現象が知られている。二酸化チタン被覆金属(アノード電極)の光触媒効果と、この電位貴化現象を組み合わせることで理論上は電位差1.2V程度のガルバニック電池となる。この現象を利用したゼロソース・ゼロエミッション型の微生物燃料電池の構築を目指した。基本特性の把握のためアルミニウムアノードを用いたバイオフィルムバッテリーの発電特性を調べた。 今年度に得られた結果は以下の通りである。 1) バイオフィルム付着電極の電位は,0.4mW/cm^2以下の光照射下では,430mV(SCE)の貴電位を維持した.また電極の表面電位は不均一でありその電位分布はバイオフィルムの付着形態とおおよそ一致する。 2) TiO2被覆電極の電位は10.5mW/cm^2の光照射下では-550mV(SCE)を示した.この電位は照射光量に依存するが,浸漬した溶液の塩濃度とTiO2皮膜厚さには依存しない. 3) 本研究のバイオフィルム付着SUS316鋼/TiO2被覆電極対から成る電池は,0.35Vの時に最大0.44〓W/cm^2の電力を発生した.ただしA1アノード電池との比較において発生電力はおおよそ1桁ほど小さい.
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