研究概要 |
・厚さ約100nmのナノポーラス構造は,定量電子線トモグラフィーにより3次元的に開口であり,連続体となっていることがわかった.形態とナノ孔と金の梁のサイズは統計的に同一である.硝酸中でのエッチング条件を変化させ,作製された孔サイズと種々の温度における腐食時間の関係を求めた.この結果、孔サイズは腐食時間と温度があがるにつれ単調に増加し,この増加傾向は温度に著しく依存していることがわかった.よってエッチング時間と温度を厳密に調整する事で多孔質金の孔のサイズを微調整する事が可能である事が本研究からわかり,孔サイズを100nmから5nmの範囲で調整する事に成功した. ・作製した各サイズのナノ多孔質金上に赤色蛍光着色料(rhodamin 6G)を吸着させ,ラマン分光法により観測した.すると孔のサイズが小さくなるのに比例してラマンピークが増加するのが確認出来た.即ちこれは孔のサイズが小さくなるほど表面曲率と孔の数が増加し,それに伴い高分子の吸着サイトの増加,さらにラマン散乱光が増幅される為だと考えられる.加えて,ナノサイズの孔と金の梁の減少が,隣り合う金の梁同士の間に電磁気場の交差を引き起こし,ラマン散乱の効果に寄与している事も要因だと言える.さらに吸着物質に対する感度を調べる為に,異なる濃度の赤色蛍光着色料溶液中に多孔質金を浸した.その結果ナノ多孔質の孔の直径が5nm程度まで小さくなると,着色料の検知濃度が5x10^<-10> mol/Lまで上昇する事が確認出来た.これは今までに知られている全ての金基板よりも単一分子の検知能力が優れている事を意味する.
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