有限要素法(Finite Element Analysis: FEM)を用いて、カンチレバーの共振周波数やバネ定数などのセンサー感度に関連する構造パラメータを最適化した(設計担当:小林)。具体的には、1次共振周波数と2次共振周波数を通常の短冊型カンチレバーよりも低く設定できるカンチレバーを考案・試作し、このカンチレバーを用いて、走査型容量原子間力顕微鏡(Scanning Capacitance Force Microscopy: SCFM)の観察を行い、高感度化に成功したことを確認した。 カンチレバーの変位の高感度検出のため、カンチレバーはその背面に均一な反射膜を有している必要がある。このため、基板ヒーターを導入した組み込んだ金属蒸着装置を設計・作製した。 また、カンチレバーの特性の評価のためには、カンチレバーの熱雑音スペクトルを正確に評価する必要がある。このため、AFM装置におけるカンチレバーの変位検出系の低ノイズ化対策を行い、約一桁下げて10fm/√<Hz>程度とした。具体的には、レーザーのモードホップノイズの低減、フォトダイオードの端子間容量の低減、プリアンプへの配線容量の低減、低ノイズ差動増幅回路の実装などによって、これを実現した。 さらに、カンチレバーを自励発振させた場合の周波数ノイズのノイズ解析を行い、自励発振回路内のバンドパスフィルターや位相シフターなどによって周波数ノイズがどのように変化するかをシミュレーションすることに成功した。これにより、高感度バイオセンサーの実現のための回路設計指針を得た。
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