研究概要 |
(1)映像解析による動作の数量化: 今年度は,動作のポイントとなる代表的な点の特徴量を,ハリスの特徴点検出オペレータとそのトラッキングの枠組みにおいて数量化した.特徴点は画像中で濃淡変化が比較的急峻な部分において検出されるため,その位置は一般に動作に追従しやすいが,照明に対する人の動きに伴って見え方が変化するとトラッキングが困難になるという問題があった.そこで,特に特徴点周辺の輝度パターンを局所的な画像基底で表現し,動作に従って対象の見え方が変化する場合でも安定な追従を行う特徴量を開発した.原理的に,様々に変化する見え方をそれら基底の線形結合で近似できる手法であり,その有効性を実画像で確認した. (2)人の動作の基本解析: 映像解析のためのアルゴリズムは開発中であったため,今年度は,映像データは利用せず,動作の理論モデルに基づいて,動作習熟過程の基本的な理解を目指した.動作の事例として,組み立て作業の中で部品間の接触を伴う組み付けフェーズの動作を取り上げ,その習熟の過程を,組み立てに伴う種々の誤差の効率的な吸収の仕方を学習するプロセスとしてモデル化した.組み付けには,部品・ワークの寸法誤差・形状誤差や作業誤差などの様々な誤差が影響するが,これまでの組立作業設計に関する研究ではこれらの誤差にどの様に対応するべきかまでは検討できていなかった.そこで,接触状態を定義するだけではなく,どの接触状態にそれぞれいくらの確率で存在するかを表わす概念状態を導入し,この概念状態の遷移図上で組立作業経路を構成する新組立作業設計法を提案した.さらに,この組立作業設計法を具体的な組付けモデルに適用することによってその有用性を確認した
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