研究概要 |
本年度は,次のような研究活動を行った.今までに開発した複数の決定表のクラスタリング手法が階層的クラスタリング法に基づいていることから,樹形図のどのレベルで切断すればよいかが問題となる.そこで,クラスター数が自動的に決定できるモデルを考察した.人間の個人行動を鑑み,合理的選択理論の考え方を導入したクラスタリング法を考案し,クラスター数が自動的に決定できるモデルが提案できた.その反面,従来法と比較して,クラスターサイズのバラツキが大きいことがわかるとともに,パラメータ設定や部分モデルの組み方に依存するところが強いことが明らかになった.どういったクラスターの作成が好ましいかという規範的概念の導入とともに,パラメータへの感度の低いモデルの考察は今後の課題である.また,信念更新モデルの考察として,Dempster-Shafer理論における種々の結合規則について考察した.ここで考察した結合規則はいずれも,同じ情報に基づき無限回信念更新すると,その情報を完全に受け入れてしまうことが明らかになった.このことより,これがある程度緩和できる新しい結合規則を考案した. 一方,信念更新や様相論理の専門家2名とクラスタリングの専門家1名を招聘して,研究打合せを行った.信念更新および様相論理の専門家により,決定表が様相論理の付値関数になっており,全体として一種の可能世界モデルとして考えられることが提示された.また,クラスタリングの専門家からはK-means法の考え方に基づいた方法を考えればよいというコメントを頂戴した.これらの課題は,引き続き検討する予定である.
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