研究概要 |
紫外光に感度のあるCCDカメラ3台とUVバンドパスフィルターを組み合わせて噴煙中の二酸化硫黄の可視化を行う装置を作製し,三宅島,桜島,阿蘇山で観測を行った. 平成19年度前半は、前年度に得た知見の応用や問題点の解決に向けて予備実験や観測を行った。雲の影響の確認したほか、川崎市の工場地帯で、工場の煙突から放出される二酸化硫黄を含まない水滴を含む排煙や、透明な水蒸気が、測定に対してどのような影響を与えるかの確認など、基礎的な観測を行った。画像解析により水蒸気や水滴の影響を取り除けることを確認した。 測定装置の方も、改良を進め3台のCCDを同期撮像させる観測プログラムと、解析を自動で行うプログラムを開発した。平成19年9月には三宅島で観測を行った。三宅島は、2000年の噴火活動以来、大量の火山ガスを放出し続けており、現在も1日に数千トン二酸化硫黄を放出している。噴煙から約3kmはなれたところから、高カラム濃度二酸化硫黄噴煙の観測を行い、可視光では透明な噴煙の二酸化硫黄の可視化を行った。また,平成19年10月には桜島で,11月には阿蘇中岳で観測を実施した.特に阿蘇中岳の観測では,火山噴煙の後方を流れる雲の影響を受けずに,二酸化硫黄を可視化することが可能であることが確認できた.噴煙と観測点の間のエアロゾルなどによる散乱の影響を評価するため,今後の測定では小型紫外分光計による紫外スペクトルを平行して観測する必要性が生じたため,平成19年度末には,平成20年度に実施する観測に向け,装置の改良や,観測手法の改良に取り組んだ.
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