研究概要 |
本研究は空間解析に格段の有利性を持つ最新のGIS技術を駆使して降雨浸透-地下水上昇モデルと既開発の「位置」と「規模」を求める三次元安定計算法を連携させた,新しい視点の時空斜面崩壊評価システムの開発を行なうとともに,その有効性をフィールドで検証するものであり,本年度の実績は以下の通りである. (1)降雨の時間的空間的過程を考慮した斜面崩壊予測システムの開発 降雨浸透解析から地盤内飽和度分布の変化,地下水位の変化,地盤材料力学特性の変化を予測する方法を提案し,求めた力学特性パラメータを,既に開発した三次元安定計算モデルに取り込むことで,以下の降雨の時空過程を考慮した広域の斜面崩壊を時間・空間的に予測するシステムを開発した. a)浸透モデルの構築 GISを用いて地形,地盤,降雨などの平面的な分布を考慮して,降雨浸透や地下水変動などによる地盤内飽和度分布の変化をコラム毎に解析して準三次元的に求めた. b)地下水位および地盤の力学特性の分析 降雨浸透による飽和度の変化量,水位上昇および地盤力学特性を,具体的事例を用いて求めた. c)斜面安定性の解析 b)で求められたパラメータを三次元斜面安定解析モデルに取り込み,降雨に伴って経時的に状況が変化する斜面の安全率を逐次計算して,斜面安定度を時空間的にリアルタイムで評価した. d)斜面崩壊予測システムの完成 以上のすべてのプロセスを実行するために,Visual Basic言語及びGISの解析機能を実行できるコンポーネントを用い,斜面崩壊予測システムを構築した. (2)予測システムの現場への適用とシステムの修正 開発したシステムの有効性およびモデルの定数の決定および修正を目的として,過去に崩壊した,あるいは崩壊が危惧されている現場3ヶ所に適用した.
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