研究課題/領域番号 |
18651114
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢口 祐人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00271700)
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研究分担者 |
廣部 泉 北海道大学, 大学院文学研究科, 准教授 (80272475)
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キーワード | 保守キリスト教 / 原理主義 / 科学 / 教育 / 慈善 / インテリジェントデザイン / 進化論 / 共和党 |
研究概要 |
本科研初年度にあたる平成18年度の活動として、まずインターネットを利用してアメリカのキリスト教原理主義団体に関する基礎的な情報を収集した。そして夏季に矢口と廣部がそれぞれ米国で現地調査を行った。矢口はコロラド州を訪れ、コロラド大学のトーマス・ザイラー教授と意見交換を行い、その後コロラドスプリングス等で調査を行った。なかでもインテリジェントデザイン普及の本部であるARNを訪問し、担当者と話し合いを持ち、さらにさまざまな普及資料を収集した。ARNではインテリジェントデザインを普及させるために、科学者と「科学的」議論を行うのみならず、小学校レベルでの教育教材作成にも力を入れていることも明らかになった。これらの努力の実際的な効果に関しては不明な点も少なくないが、今後、このような反進化論的(擬似)科学がアメリカ社会でどれほど大きな影響力を持つかは注目し続ける必要がある。また、フォーカス・オン・ザ・ファミリーをはじめとする、原理主義団体本部を訪問し、その財政規模と支持基盤の強さをあらためて知ることになった。いっぽう廣部はアメリカ東海岸において、主に保守キリスト教団体のロビー活動に関する調査を行った。ブッシュ政権の終焉が近づき、カール・ローブらの側近の力が弱まるなか、保守キリスト教団体の活動も一時に比べれば穏やかになっている感もあるが、実際には背後で強力な活動が展開されていることが確認された。そのいったんは、アルベルト・ゴンザレス司法長官の側近で、辞任に追い込まれたモニカ・グッドリングがキリスト教原理主義団体の経営するリージェント大学の卒業生であることからも明らかになったが、ワシントンの現地調査では保守キリスト教系の高等教育機関と共和党の関係を追及する重要性を痛感した。 また研究に必要な保守キリスト教団体関連の書籍・DVDなどを購入して、資料の充実を図った。
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