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2006 年度 実績報告書

現代における「生命の哲学」の可能性に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18652003
研究機関大阪府立大学

研究代表者

森岡 正博  大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (80192780)

キーワード生命倫理 / 生命の哲学 / ハンス・ヨナス / 生延長
研究概要

本年度は、「生命の哲学」の内容を固めるために、生命倫理の領域からの文献研究を行なった。まず、研究計画書にも記したように、米国における「リベラル」と「保守」のそれぞれの生命観について研究調査を行なった。その結果は論文として発表した。さらにそれを検証するために、米国生命倫理人文科学会の特別学会に参加して発表を行なった。参加者たちからヒアリング調査を行ない、上記2項のほかに「障害者」のグループによる生命政治学が存在することが判明した。また、中国で開催された国際生命倫理学会、ドイツで開催された生命倫理シンポジウムにもそれぞれ参加し、発表した。それらの発表において、本研究のテーマである「現代における生命の哲学」の必要性を主張し、ディスカッションを行なった。ドイツのシュタイネック教授との共同調査は2007年度の予定であったが、2006年度にチュービンゲン大学より私が招聰されたので、前倒しで日独の生命観についての調査研究を行なった。
一方、「生命の哲学」についての文献研究として、2003年以降、生命倫理の領域で盛んに議論されている「生延長life extension」の哲学についての文献サーベイを行なった。この問題は日本においてはほとんど議論されていないので、2007年に刊行された私の論文が日本で最初の本格的な研究になると思われる。議論点となっているのは、「生延長は規制されるべきか」「望ましい社会観・人生観についての闘争」「現代文明への警鐘」「死の不可避性」であることが判明した。それぞれの論点において、従来の生命倫理の枠組みでは充分に問題点が捉えきれず、従って、本研究で追究しているような「生命の哲学」あるいは「生命の政治学」という枠組みが用意されなければならないという点が明らかになってきた。また、この調査によって、ドイツの哲学者、ハンス・ヨナスの思想が、これから今まで以上に大きく注目されるであろうことが分かった。ヨナスの思想はおもに環境倫理学の領域で研究されてきたが、彼の生命の哲学領域での洞察は非常に重要である。米国の保守派の重鎮であるレオン・キャスへの影響力も大きいことが判明した。
また、医療現場における生命観の研究として、小児脳死の生命倫理について論文を刊行した。
以上、当初予定していた計画をおおむね達成できたと考える。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Is it Morally Acceptable to Remove Organs from Brain-Dead Children?2007

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Morioka
    • 雑誌名

      Lancet Neurology Vol. 6

      ページ: 90

  • [雑誌論文] 生延長(life extension)の哲学と生命倫理学2007

    • 著者名/発表者名
      森岡正博
    • 雑誌名

      人間科学 2

      ページ: 65-95

  • [雑誌論文] The Ethics of Human Cloning and the Sprout of Human Life2006

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Morioka
    • 雑誌名

      Cross-Cultural Issues in Bioet hics : The Example of Human Cloning.(Heiner Roetz (ed.)) (Rodopi)

      ページ: 1-16

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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