「スピリチュアリティ」をテーマとした映像を制作し、その視聴者による鑑賞と視聴者と制作者との対話を観察することによって、現代的宗教性の有り様を観察し分析しようとする三年計画の本研究の次年度は、作品のモチーフとなる映像資料の撮影、収集を行うとともに、映像作家による映像制作をプロデュースし、二本の「スピリチュアリティ」をテーマとした作品を獲得した。初年度と同様に、映像作家が独自に「スピリチュアリティ」を解釈し映像化された作品は、表象文化や記億の想起などを取り扱い、その中に見えないつながりの感覚とその在り処を表現していると報告者は解釈している。現在、ウェブに実装しているところであり、引き続き視聴者と制作者との対話を観察し分析する所存である。初年度の二本の作品をめぐる対話に関して言えば、1スピリチュアルブームにおけるスピリチュアリズム的なスピリチュアリティ観念の影響があるのではないか、2その一方で、オカルト的解釈とは異なり、物の背後に魂や心を想定するアニミズム的なスピリチュアリティ観念があるのではないか、3不可視なつながりに対する倫理的態度としてのスピリチュアリティ観念があるのではないか、の三点の初年度に立てた仮説は検証された。今後は、新たな作品における対話の観察、分析を通して、考察を深める所存である。
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