1、現在刊行されている日本思想・韓国思想関係史料中の「図説」類、また「図説」の分析に必要な史料・参考文献の収集を大幅に行なった。これらの史料を、皆川淇園・三浦梅園などを中心とした18Cの「図説」の文化史的意義の分析に焦点を合わせながら、整理・分析した。また『儒学論説図解』(慶尚大学校師範大学教育学科、1998)などの資料集から、日本・韓国の近世教育史方面における研究蓄積の利用が、史料収集上有効であることが明らかとなった。 2、東北大学附属図書館・国立国会図書館を中心に、刊行されていない写本の形で伝わる日本思想関係史料中の「図書」類の実物調査を行い、史料とともに写真撮影・複写等を行なった。これらの史料を、『易』学関係・『韻鏡』関係の文献に焦点をあわせつつ、整理・分析した。この過程で、日本思想史における「図説」の、韓国思想と比較した際の特色が明らかとなるとともに、この問題をより掘り下げるためには、両国における出版文化の比較なども必要であることが判明した。 3、韓国思想関係の「図説」の収集・理解のために、研究協力者である韓国学中央研究院所長教授・慶尚大学教授張源哲教授と仙台・東京で打ち合わせを行なった。この過程で、韓国思想播の問題を日本中世においても検討する必要のあることが明らかとなった。 4、韓国の儒教「図説」に関する研究文献を収集し、また方法論的検討の参考として、日本中世・近代やまた中国やヨーロッパの図像学の研究文献などを収集した。この過程で、日本における「図説」が「図説」として一括りにできず、いくつかの分類を要すること、また中国・韓国の「図説」との直接的比較のためには、日本の中・近世移行期の「図説」に注目する必要のあることが明らかとなった。
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