本年度は、本研究の完成年度にあたるため、これまでに真福寺を中心として調査検討してきた各種宗教テクストの事例を綜合して、それらの示すところの諸現象をテクスト論的に統一して位置付け、認識すべく研究上の試行を行った。 第一に、代表者が学術責任者を務めたグローバルCOEプログラム第四回国際研究集会「日本における宗教テクストの諸位相と統辞法」のために、当該分野に関連する宗教テクストの事例の分析を通して、それらの構造と相関関係について試論を提出し、集会の議論と検討を経て、その総括報告において、より本格的な提案として学会に提示した。 第二に、文観著作等の密教聖教研究については、代表者による科研基盤研究(B)「中世寺院テクスト体系の復原的研究」に展開する。 第三に、法儀・唱導書研究については、代表者を研究代表者とする歴博共同研究「中世儀礼テクストの綜合的研究」に展開する。 第四に、宗教図像研究については、聖徳太子絵伝を主な研究対象として、代表者が分担者となる科研(B)「中世掛幅縁起絵の綜合的研究」に展開する。 以上の諸研究を全体として有機的に統合するための道程を示した論文を発表した。
|