本研究では、大学の英語授業において、教員ではなく学生自身がどのようにコーパスを利用するのがコロケーション能力を向上させるために効果的であるのかを検討し、その具体的方法を提案することを目的とした。具体的には以下のことを行った。 1. 平成19年度に引き続き、研究代表者(滝沢)は、「表現セミナー」という名称の授業を名古屋大学において担当し、その中で、コロケーション重視の授業を実践した。(「表現セミナー」はコンピュータ・ラボを使い、各受講生がコーパス検索を行う授業であり、英語の表現能力(作文力、コロケーション力)を向上させることを目標としている。同時に、コーパスの利用方法を知ることにより、授業終了後の自学自習のための方法を身に付けさせる効果もある。) 2. 朝日新聞社発行の英語学習紙Asahi Weeklyにおいて、隔週で「コーパスで学ぶ本物英語」というテーマで連載を行った(平成19年4月より継続)。内容は、1で述べた「表現セミナー」と密接に連動しており、授業参考資料として用いた。 3. 熊本学園大学において開催された同大学・外国語学部主催のセミナー「コロケーションと英語教育」で「コロケーション教育の試み」というタイトルの研究発表を行った。発表内容には、「表現セミナー」での実践例が含まれている。更に、『名古屋高等教育研究』(第9巻)に「学問研究に資する英語教育に向けて」という論文を発表した。同論文において、コロケーション重視の英語学習方法に関する私見の一端を示した。 4. 分担者の山下は、British Association of Applied Linguisticsにおいてコロケーションに関する研究発表を行った。
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