本研究の目的は英語習得における視覚・聴覚の関わりを分析的に考えた上で、ITを利用した視覚障害・聴覚障害を持つ学生の英語教育教材を作成することである。 高等教育機関における英語の授業の問題点を調べ、学習支援という視点で英語教育教材を研究した。インテグレーションの中での英語教育が視覚・聴覚に障害を持つ学生にとって、どの程度の効果があり、どのような問題があるかを把握した。 次にそれらを活かして、自習する場合には障害をもつ学生の認知構造に適合した英語教育教材の提示の仕方ができると考え、音声がまったくなく、文字・画像だけのものから、文字・画像がまったくなく、音声だけのものまでの間を段階的に選べるような教材の作成にとりかかった。健常と言われる学習者でも視覚認知に頼りがちな人と、聴覚認知に頼りがちな人がいて、障害者用教材に留まらず、広く利用できそうである。 また並行して、海外の障害者の外国語教育について調べた。特に手話という言語をもつ聴覚障害者の場合、その母語をどう利用するか、アイデンティティーの強いろう文化を教材の中でどう活かすか、ということも考慮し始めた。
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