研究概要 |
1)平成18年12月から平成19年1月にかけて、エジプト・アラブ共和国、ルクソール西岸・王家の谷に位置するアメンヘテプ3世王墓において「アムドゥアト書」の第一次記録調査を実施した。調査ではデジタル一眼レフカメラに、単焦点で70mmとなるレンズを装着して、壁面から約3mの距離から対象を撮影した。このデジタル画像を、現在、画像処理ソフトを利用しながら加工、編集しており、「アムドゥアト書」の有効な史料化への足がかりを築きつつある。 2)早稲田大学エジプト学研究所が所蔵するアメンヘテプ3世王墓で撮影された「アムドゥアト書」のスライド写真をデジタル化することができた。これらのスライドは、「アムドゥアト書」の史料化のために撮影されたものではないが、同書が描かれている壁面を接写していること、およびポジフィルムのサイズが大判であるという優れた特徴を持っていた。また、撮影がなされたのは、壁面がクリーニングされる以前であり、当時の様相をデジタル化することで長期的に保存することができた。 3)研究代表者が所属する比較文明学会、第78回研究例会において、本研究課題の構想について発表した。その後の質疑応答をあわせて、アメンヘテプ3世王墓に描かれた「アムドゥアト書」とその史料化から見えてくる文化としての「死」を切り口とし、「死」にかかわる領域横断的なフォーラムを構築する一歩とすることができた。(比較文明学会会報45,2006,7,p6を参照)
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