研究課題/領域番号 |
18652068
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 尚史 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (60262086)
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研究分担者 |
平石 直昭 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20013013)
梅崎 修 法政大学, キャリアデザイン学部, 専任講師 (90366831)
中林 真幸 大阪大学, 経済学部, 助教授 (60302676)
佐藤 美奈子 東京大学, 社会科学研究所, 助手 (90361633)
土田 とも子 東京大学, 社会科学研究所, 助手 (70013018)
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キーワード | 希望 / 釜石 / オーラル・ヒストリー / 社会思想史 / 労働史 |
研究概要 |
本研究の目的は、伝統的な文献史学の手法にオーラル・ヒストリーの方法を組み合わせて様々な社会諸階層の人々のライフ・ヒストリーを辿ることを通して、戦前、戦後における「希望」の社会的位相を考えることにある。この課題に接近するため、本年度は7月と9月に、経済学や政治学、法学、社会学といった社会科学諸分野の研究者と共同して、かつて製鉄の町として栄えた岩手県釜石市をフィールドとする総合的な地域調査を実施した。具体的には、まず中村、梅崎が新日鐵釜石製鉄所の労働者と現場管理者のOB 34人に、製銑、製鋼、圧延、工作、整備の各部門別で、かつ70〜80歳代と60歳代の二つの世代グループ別に、各時代(戦前-戦中期、戦後復興期、高度経済成長期)の各職場における技能形成のあり方や、1960年代における釜石製鉄所から東海製鉄-名古屋製鉄所への転出(労働者の社内配置転換)や1978年以後の合理化の過程における各自の対応と心情に焦点をあてたインタヴューを行い、世代や職場による「希望」のあり方の差異性と共通性を考えた。その記録(オーラル・ヒストリー集)は、現在、東京大学社会科学研究所のディスカッション・ペーパーというかたちで逐次、刊行中である。また中林と中村は、インタヴュー調査に並行して、新日鐵釜石製鉄所と釜石鉱山の文書史料調査に従事した。その結果、鉄の歴史館、釜石市郷土資料館、釜石製鉄所などが所蔵する膨大な史料のリスト作成と部分的な写真撮影を行うことができた。さらに平石と佐藤は釜石地域がこれまでにどのような地域文化を育み、それが同地域のローカル・アイデンティティの形成にいかなる影響を与えてきたのかについて、思想史的な考察を加えつつある。具体的には、二度にわたる現地調査で新聞、雑誌、同人誌といった文献史料を収集するとともに、釜石地域の地域文化形成に大きな影響を与えた知識人層に関する情報収集を行った。
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