・これまでに収集してきた京都七宝に関する古記録等(21件)の翻刻を進めるため、近代美術に関する先行研究者や近世文書や近代史の各専門家(東京学芸大学ほか)の協力を得て整理、調査のすすめ方についての検討及び教示を受け、翻刻作業に着手をするための体制を整えた。 ・近代技芸に関する研究会にて、収集資料の整理を継続する一方で翻刻された古記録についても随時検討をした。また、各種の研究会や学会等にも参加し研究活動の公表を行い先行研究者や異分野からの専門家の教示を積極的に受け入れた。 ・七宝資料の所在の全容を明らかにすることを目的として、書誌資料を整理しデータベース化を進めた。その際、美術工芸に関わる書誌資料だけではなく、建築や霊廟装飾等にも七宝資料の所在を求め抽出の対象とした。収集した資料から明治期の京都七宝の生業を解明する手がかりとなる資料を抽出して記述内容のデータベース化を進めた。 ・七宝資料の所在の確認と発掘的な調査を目的として、七宝作品のみならず建築の錺金具や等についても視野に入れ、各地に調査をした。本年度は山口県(毛利博物館ほか)、愛知県(名古屋市立博物館、七宝町アートビレッジほか)、香川県(金刀比羅宮宝物館ほか)等である。 ・明治期の七宝制作の場について考察する際の手がかりとして、七宝町アートビレッジの協力を得て尾張七宝の現代の七宝制作の場についての視察を行なった。 ・更なる書誌及び七宝資料の発掘的な調査を行うとともに、産業創生を考察する上で近世末から近代の七宝以外の諸技芸についても情報収集を行なった。
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