研究の目的本研究は、これまで蓄積されてきた農学的研究手法を農耕地遺跡の研究に適応する初めての試みである。 1)各地ですでに報告されている農耕地遺構の土壌および立地環境等、農耕に関連する情報を収集し、評価項目および評価基準の再検討を行い、より汎用的な評価方法を確立することを第一の目的とする。 2)モデルケースとして群馬県子持村地域における古墳時代農耕の復元をおこない評価方法を検討することを第二の目的とする。 子持村で発掘された遺跡の全ての報告書を収集し、古墳時代(6世紀中葉)の表土にあたる地点の遺構の状況をデータベース化する目的で報告書を収集し、情報を整理しデータベースデータに統合した。 (1)土壌の断面調査・理化学性・母材・層厚等基本的な情報を明らかにする。(古土壌として類別する) (2)遺構の特徴 畝の形状・方向・堆積状態・使用回数等(農法の検討) (3)微細形態観察による栽培作物および農法の詳細な環境復元 (4)プラントオパール・花粉・種子等による栽培作物の情報 (5)古地形の復元(遺跡の範囲で確認できた微地形、現在景観等の情報を収集し広域的な古地形を復元) 3)薄片試料を作成し、構造を保持したまま元素分析を行う方法(土壌構造非破壊化学分析法)を確立する。これまで分析が困難であった古墳時代の土壌について大型薄片試料を作成し、構造を保持したまま元素分析を行う方法(土壌構造非破壊化学分析法)を用いてより多くの情報を収集する。 18年度は子持村で発掘された6世紀中葉の農耕地遺構の情報収集および大型構造破壊試料の作成を行った。
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