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2008 年度 実績報告書

三次元的パターンマッチング法等の応用による土器製作者個人の高確度同定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18652073
研究機関鹿児島国際大学

研究代表者

中園 聡  鹿児島国際大学, 国際文化学部, 教授 (90243865)

キーワード個人同定 / レプリカ法 / 身体技法 / 土器 / 蛍光X線分析 / 民族考古学 / マッチング / 考古学
研究概要

本年度は、これまでに得られた土器製作者個人の同定法に関する各種のデータについて、様々な角度から検討を行い、必要なものに関しては追加・補足的な実験・観察等を実施することで、一定の成果を挙げるよう努めた。印象材を用いたレプリカ法や、土器調整痕の製作実験等、多角的な検討を実施し、弥生土器以外の土器についても調査・実験を行って、これまで開発してきた方法の拡張性・一般性についての確認と、適用可能範囲について考察した。また、タイ北部で伝統的土器製作に関する海外現地調査を実施した。この調査は、研究室では得がたい実際の場面での確認という意義をもち、利き腕の異なる製作者間の差、同一素地・同一工具を用いた製作者間の差などについて、良好な条件の下に観察・実験・検証を行うことができた。同調査では、個体間・個人間での胎土の違いや個人内での一致度に関する貴重な所見も得ることができた。なお、身体技法の一致度の評定については一層研究を深める必要があるが、タイでの民族考古学的調査による成果のほか、現物及び実験製作品の顕微鏡観察によって、工具の運動方向等に関するかなり確実な推定が行えることを見出した。以上の研究から、弥生土器等のハケメをはじめとする土器表面の微細痕跡については、開発した「断面高解像度スキャニング法」によるマッチングは、同一工具の同定に極めて有効であることが確信できる。
本研究によって、従来、土器製作者の個人同定には条件の整った土器しか使用できないという限界を超え、弥生土器をはじめとする無文傾向の著しい土器についても個人同定を行うことが可能という明るい見通しを得るに至った。このことは、考古学及び関連分野に、過去の個人を基軸とする新しい領域を確立することに役立つものと考える。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 土器製作者の身体技法と土器調整痕の顕微鏡観察2009

    • 著者名/発表者名
      川宿田好見, 中園聡
    • 雑誌名

      鹿児島国際大学考古学ミュージアム調査研究報告 6

      ページ: 16-27

  • [雑誌論文] フィジーにおける土器製作と製作具2008

    • 著者名/発表者名
      中園聡
    • 雑誌名

      九州と東アジアの考古学-九州大学考古学研究室50周年記念論文集- 下巻

      ページ: 949-959

  • [学会発表] 土器製作者同定法の開発-レプリカ法の応用等による工具痕の個体識別-2008

    • 著者名/発表者名
      中園聡, 池平壮峻
    • 学会等名
      日本文化財科学会第25回大会
    • 発表場所
      鹿児島国際大学
    • 年月日
      20080600
  • [学会発表] 土器製作の実験考古学的研究I-大型専用甕棺復元の試み-2008

    • 著者名/発表者名
      川宿田好見, 他
    • 学会等名
      日本文化財科学会第25回大会
    • 発表場所
      鹿児島国際大学
    • 年月日
      20080600
  • [学会発表] 身体技法の表れとしての土器-北部九州弥生時代中期土器とその図示法-2008

    • 著者名/発表者名
      川宿田好見, 他
    • 学会等名
      日本考古学協会第74回総会
    • 発表場所
      東海大学
    • 年月日
      20080500

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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