研究課題/領域番号 |
18652074
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
浜谷 正人 富山大学, 人文学部, 教授 (30019319)
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研究分担者 |
大西 宏治 富山大学, 人文学部, 准教授 (10324443)
香川 雄一 滋賀県立大学, 環境科学部, 講師 (00401307)
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キーワード | 都市近郊農村 / 嫌われ施設 / コンフリクト / 環境認識 / 洪水災害 |
研究概要 |
今年度は、「都市近郊農村における社会的・政治的ポリティクス」を大都市圏の人口動態や嫌われ施設の施設立地、水害常襲地の環境認識などから調査した。 三大都市圏における人口動態は、都心部の土地不足や地価の高騰のため、大都市圏における郊外住宅地は外延化の傾向を示していたが、長距離に及ぶ通勤・通学の回避もあってか、次第に人口分布が都心回帰の傾向を示すようになってきている。大都市圏周辺部においては、人口減少や地域社会の希薄化がますます進むかもしれないということが理解できた。 一方で生活や産業から排出されるゴミの処理方法は都市内外において将来的にも課題として残される。ところが自治体によるゴミ処理施設や一般/産業廃棄物の処分場は嫌われ施設としてとらえられることが多く、大都市や地方都市の近郊農村に集積するという事実もある。これらの地理的要因による施設の立地動向と、自治体の政策や地域住民の反応によりもたらされるコンフリクトの実態を把握するために、栃木県鹿沼市で環境行政に関わる刑事事件を調べ、滋賀県内では産業廃棄物処理場の分布を調べた。 また、東海豪雨で洪水災害の発生した愛知県天白川流域に居住する住民の河川に関する環境認識や環境学習に関して実地調査を行った。その結果、かつての土地利用を反映した土地条件を無視した開発の問題点を人々は認識し、それを次の世代に伝えるための様々な社会活動を行っていることがわかった。 研究成果として、地域社会の変化や行政施策の変容、人々の地域認識が空間をめぐる社会的・政治的ポリティクスにも影響を与えることが明らかになった。
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