研究概要 |
本年度は、本研究課題に関わる文献資料(主として仏文)の収集に努めると共に、9月下旬にフランス・ボルドー市において現地調査及び研究打ち合わせを行った。 (1)まず、二人のアキテーヌ州議会議員、 Pierre Hurmic氏およびAnnie Garrissou氏にたいして聴き取り調査を行った。次いで、アキテーヌ州庁及び州議会を訪問し州の行政施策関連の資料を収集するとともに、この際に得られた知見も参考にして、ボルドー政治大学地方政治研究センターの教育スタッフである、Vincent Hoffmann-Maritinot, Claude Sorbets及びJacques Palard各氏と協議の上、議員に対する質問票の検討・調整を行った。 (2)また、町長職も兼務するAumie Garrissou議員の招きにより、1日を費やしてボルドー市郊外に立地するFargues-Saint-Hilaire町役場及びこの町を中核とする 「コミューン共同体」事務所を訪問し、聞き取り調査を行った。「コミューン共同体」は、日本における市町村合併の機能的代替物であり、現在フランス全土で急速に普及している。18年度では、フランスの地方制度において州の存在が次第に重みを増す一方、「コミューン共同体」による下からの圧迫もあって、県が事務事業の徳面でそのアイデンティティを脅かされている状況を確認することができた。 (3)更に、3月には名古屋大学政治学研究会において、ケルト文化の専門家でもある中木康夫名誉教授を囲んで、ブルターニュ地方の歴史、地域意識、地域主義運動についての講演をうけ、討議を行った。 19年度には、ボルドー政治大学の協力を得て、上記の質問票をアキテーヌおよびブルターニュ両州の議員に送付し、そのデータを元にボルドー市及びレンヌ市を訪れ、データの精査のための聞き取り調査を行う予定である。
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