• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2007 年度 実績報告書

国内組織のインセンティブ・メカニズムにゆがみがあるときの多国間での政策合意形成

研究課題

研究課題/領域番号 18653023
研究機関帝塚山大学

研究代表者

熊谷 礼子  帝塚山大学, 経済学部, 准教授 (20309511)

研究分担者 寳多 康弘  南山大学, 総合政策学部, 准教授 (60327137)
細江 宣裕  政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60313483)
秋山 修一  釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (60347177)
キーワード国際経済学 / 内政と外交 / 環境援助
研究概要

熊谷は、企業組織において、昇進政策が従業員にもたらずインセンティブの問題を分析した。昇進によるレントに企業がコミットすることによって、キャリア・コンサーン効果が生じ、リスクとインセンティブの問題が緩和され、キャリアの初期には固定給が、キャリアの終盤には成果給が望ましくなることを示した。逆に企業が昇進のレントにコミットしない場合には、ラチェット効果が生じるため、キャリアの初期にも成果給が望ましくなることも示した。これらの効果が監督省庁と被規制産業の間でどのような形で生じるか分析を重ねている。
国内の利害調整問題を地域・地方の間で考えるたには、まず各地域における特性を見極める必要がある。そこで、細江と秋山は、最も重要な経済変数のうちの1つである、エネルギー、とりわけ、電力の需要関数を9つの電力会社の管区ごとに個別に推定し、各地域の特性を把握することを試みた。その成果として、これまでは電力需要の価格弾力性は小さい(例えば0.1ないしゼロ)という議論が広くなされてきたが、本研究の結果は、それよりも大きな弾力性を示唆する。また、9地域を比較すると、都市部で需要の価格弾力性が小さく、一方で、地方部で弾力性が大きいことが明らかにされた。この成果は、例えば、環境税の影響が国内地域間で一律ではないことを示唆しており、今後の環境問題の政策立案上、地域ごとに特別の配慮が求められる可能性を示唆する。
環境援助の理論分析の際に留意する点を明示することが、環境交渉の経済分析の際に大変、重要である。そこで、賓多は一般均衡分析を用いて環境汚染を分析する際、汚染の影響を効用関数に取り込む場合と、生産関数に取り込む場合とでは、その設定の方法によっては汚染の影響を過小評価しかねないことを明らかにした。また、環境援助のインセンティブの一つなる利他性がある下での援助を分析した諭文を執筆した。今後の環境交渉で援助の効果を評価する際に留意すべき点が明らかになり、環境交渉の進展に寄与することができるといえる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Optimal Incentive Contracts and Commitment to Promotion Rent2008

    • 著者名/発表者名
      熊谷 礼子
    • 雑誌名

      帝塚山経済・経営論集 18

      ページ: 125-142

  • [雑誌論文] Regional Electric Power Demand in Japan2008

    • 著者名/発表者名
      Hosoe, N., Akiyama, S.
    • 雑誌名

      RIETI Discussion Paper Series 08-E-005

      ページ: 1-37

  • [雑誌論文] 電力需要関数の地域別推定2008

    • 著者名/発表者名
      秋山 修一, 細江 宣裕
    • 雑誌名

      社会経済研究 56

      ページ: 49-58

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 貿易と環境:環境援助の理論分析2008

    • 著者名/発表者名
      寳多 康弘
    • 雑誌名

      三田学会雑誌 第100巻(第4号)

      ページ: 85-101

  • [雑誌論文] 電力需要関数の地域別推定2007

    • 著者名/発表者名
      秋山 修一, 細江 宣裕
    • 雑誌名

      RIETI Discussion Paper Series 07-J-028

      ページ: 1-26

  • [図書] 「最適な援助政策と利他的行動」『現代国際貿易の諸問題』2007

    • 著者名/発表者名
      近藤 健児, 薮内 繁己
    • 総ページ数
      109-120
    • 出版者
      勁草書房

URL: 

公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi