本研究は最終的にはCIOを類型化し、日本にあったCIO像を浮かび上がらせることである。当初CIOに対して直接情報を収集することを目指したが、予備調査の過程で、CIOのカウンターパートナーとしてITのユーザ領域との関係について、最初に明確にすることが重要と考え、平成18年度は、CMO(Chief Marketing Officer)に注目することにした。CMOはCXOの中でもITの利用が特に戦略的である分野だからである。主にインタビューによって、世界を代表するクローバル企業のCMOにCIOとの関係について調査した。主にインテル、P&G、Yahoo、Bearing Point、日産がその対象となっており、その成果は、著書「CMO---マーケティング最高責任者---」の中の一部としてまとめられている。 また、現在CIOにおけるITの戦略的利用に関する整理を行っており、その成果は平成19年度の研究に引き継がれる。ここでは、近年注目されているビジネス領域におけるイノベーションがどのように注目され、それに対してCIOがどのように関わっているのかをまとめたものである。 さらに、CIOをとりまくITのビジネスにおける応用に関する研究成果が並行して行われおり、Eコマースに関する研究も行った。そこでは各店舗がショッピングモールを介して行う仲介型のモデルに対して、各店舗にアクセスしたユーザが特別な共有サービスを受けられるサービス付加型モデルを提示している。またITマネジメントの観点からCIOにおいて重要なミッションであるシステム開発が、近年海外の開発企業に発注するオフショアソフトウェア開発が盛んになっていることについても調査している。日本企業向け業務系アプリケーションの開発が、日本の開発スタイルに慣れていない中国企業が困難にぶつかっていることが結果として得られている。
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