純粋持株会社の本社機能の解明を進めるために、積極的にインタビューを実施した。 その成果は、「純粋持株会社におけるマネジメント・コントロールの現状と課題」日本会計研究学会年次大会、平成19年9月2日、報告(共同報告者:頼誠、塘誠)として実現した。内容的には、2つの論点が明らかになっている。1つは、本社機能が、M&Aなどの方法による事業戦略の再構築のための機能を積極的に果たす核として機能していること。2つめは、インセンティブ機能として、事業内容と業績に応じた報酬構造の決定に積極的な役割を果たしていること。3つめは、ブランドの統一、戦略的な中核人事の機能を積極的に果たしていること。この3つの論点がすぐれた統治を実現している企業においては、持株会社の機能として、確立されつつあることが、観察された。 今年度の仕事は、郵送型の質問調査でなく、調査表を持参して、担当者との聞き取り調査により、知見を得たが、この知見以外に、財務的な業績については、知見と必ずしも一貫した関係が見つかっておらず、業績と統治との関係は短期的には、成立しておらず、今後は、この面でのさらなる検討が課題である。
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