三年間の本プロジェクトの初年度として、平成18年度は、社会関係基盤の概念を、連帯概念にどのように接合するかに関して、理論的および方法論的な検討を行った。 方法論的には、人-社会関係基盤-人の連結をとらえるパーソナルネットワーク・データにもとづき、所属行列の考え方を応用して社会関係基盤を単位とした集計を行い、社会関係基盤が人びとを結びつける性能を分析する方法を開発した(物品費を充当)。この成果を国際社会学会世界会議等で報告した(外国旅費を充当)。また、国際的な連帯を分析するために、国家間の協調体制のあり方を、政府の役割認識と政策行動の観点から検討する数理モデルを開発し(物品費を充当)、日米関係を素材としたその成果を比較社会科学国際会議等で報告した(国内旅費を充当)。前者は連帯の計量分析、後者は連帯の質的分析の方法論として考えている。 理論的には、家族・友人から国家・民族のような想像の共同体までを貫くフレームワークを検討した。とくにA.シュッツのシンボル概念(シンボルを介在して認識される高次の観念として「われわれ関係」)と、ファラロらによる人-シンボル-人の連結としての連帯の定式化との親和性に着目し、そのシンボルの位置に社会関係基盤を概念的に据えること試みた。また、実際にどのようなシンボルが、どのような水準の「われわれ関係」(連帯)を指標するかについて、予備的な資料調査を行った(国内旅費、現像費等を充当)。
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