研究概要 |
2006年9月に質的データ分析コンピューターソフトQSR(Qualitative solutions & Research)NUD^*IST(Non-numerical Unstructured Data, Indexing, Searching, Theorizing)及びNVivoの開発者であるオーストラリア国際質的社会学研究所所長リン・リチャーズ(Lyn Richards)教授を招聘し、「質的データの扱い方-質的研究手法の現在」と題して公開講座を行なった。日本全国から80名以上の研究者が聴講に訪れた。英国や米国の海外在住の邦人研究者らからも問い合わせを受けた。同時期に、中国からは四川大学や浙江大学などの共同研究者たちも招へいし、研究会を開催した。九州大学の日本人および中国人院生も参加した。共同研究者らは、質的データソフトQSR NVivo7を実際に使用し、英語圏で開発された質的データソフトを日本や中国へ応用するときの相違点を同定し、課題を話し合った。 リチャーズ教授の最新刊"Handling Qualitative Data : a practical guidebook"Sage,2005の邦訳作業を進めており、2007年北大路書房より刊行予定である。 2006年11月に『事例研究の革新的方法』を九州大学出版会より刊行した。これは、阪神大震災被災高齢者を事例にとりあげて、QSR NVivoを用いて、はじめて質的データ分析ソフトを日本のコンテクストに応用して行なった研究の具体例でもある。特に第3章研究手法では、具体的に日本のフィールデータをNVivoを用いてどのように分析したか説明し、適応時の留意点も議論をしており、上記の方法論の書と併せて、具体例としても参考となる。 2006年11月に米国ボストンで開催された質的データ分析コンピューターソフトQSR Nvivo7(2006年春に発売された、はじめて日本語や中国語など2バイト言語に対応するように開発された新バージョン)と他のメジャーな質的データ分析ソフトであるATLAS.tiの研修に参加し、それらの相違、また今後の質的データソフト開発の方向性について学んだ。(2007年2月にNvivo7の日本の独占販売元となるコンピュータ会社が決定し、日本へのローカライズおよび販売推進がすすむ。イベントで基調講演をするようにも依頼を受け、また、他の研究者から問い合わせを受けている。)本研究はますますタイムリーとなっている。
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