平成19年度の研究実施結果は以下の通りである。 平成18年度に完成したアプリケーションソフトウェア(以下、ソフト)を今年度は利用者の意見を取り入れ、バージョンアップした。同ソフトは、聴覚に障害のある生徒及び学生を対象とし授業における音声言語を、パーソナルコンピュータ(以下、パソコン)のキーボードを通じて入力者が要約入力し、書記言語に変換し、生徒及び学生に伝達する機能を有する。その独自の機能的特徴は以下の通りである。 1.日本語変換ソフトの操作時に文字列を確定すると同時に、データをLANを通じて接続した生徒及び学生のパソコンに送信する即時データ送信機能。 2.手書き文字及び手書き図形を筆記ならびに描写すると同時に、上記同様、筆順に沿って即時にデータ送信する機能 3.漢字変換時に入力した文字列をルビとして認識し、括弧付きで送信するルビ付与機能 以上の機能に加え、今年度は以下の機能を付与しバージョンアップを実施した。 1.聴覚障害にとどまらず、視覚にも障害のある「盲ろう」学生を対象に、触覚を通じて情報を入手することを可能とするための、点字ディスプレーへの出力機能を付与した。 2.視覚に障害のある生徒、学生が、副音声として情報を入手することを可能とするためにスクリーンリーダー(画面に表示された文字を読み上げるソフト)を活用し、出力されたテキストを音声として入手可能な機能を付与した。 3.ビアボイス等の市販の音声認識ソフトを活用し、支援者がマイクを通じて障害のある生徒、学生に文字情報を伝達する機能を付与した。 新機能の付与により、障害の種別を超えた情報コミュニケーション支援という従来見られなかった発想の枠組みを提供したこと、少子高齢化時代における横断的なボランティア活動の可能性を広げた点が、バージョンアップしたソフトの意義である。
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