態度測定の方法として近年注目されているIATという手法を用いた「感謝感情」と「すまなさ感情」の測定方法の開発を行った。まず、事前の研究(研究1)として、140名の大学生を参加者として、感謝心尺度、すまなさ尺度、環境保護行動尺度、社会的望ましさ尺度、環境態度尺度の、それぞれの内的一貫性と相互の関連を調べた。その結果、感謝心尺度、すまなさ尺度、環境保護行動尺度については、許容範囲の内的一貫性が示され、また社会的望ましさ尺度との関連も低く、以降の研究における使用に耐えると判断された。 次に研究2として、まずIATによる自然に対する感謝心及びすまない感情の測定方法を開発した。IATは、刺激への反応時間をもとにある対象に対する態度を測定するものであり、一般にパソコンを利用した個別実験により実施される。その目的は、意識されないような態度の測定にある。研究2の目的は、IATにより測定される感謝心及びすまない感情と、質問紙法による自然への感謝心及びすまない感情とが、環境行動尺度に対してどのような関連をもつかを調べることである。64名の大学生を実験参加者として、IATによる感謝心の測定、IATによるすまない感情の測定、質問紙による感謝心尺度とすまない尺度、環境行動尺度の測定を行った。その結果、IATにおいて、感謝心を初めに測定したグループとすまない感情を先に測定したグループの間で、異なる結果が得られた。すなわち、すまない感情を先に測定したグループでは、環境行動尺度はIATによる感謝心とすまない感情と負の有意な相関がみられた。他方、IATにおいて感謝心を先に測定したグループではこのような傾向はみられなかった。これらの結果は、IATによる感謝心の測定に関して重要な知見を提供している。
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