研究概要 |
本研究課題では,1歳未満の乳幼児の眼球運動を正確かつ定量的に記録するための新しい方法を開発すると共に,その方法を用いて乳幼児の眼球運動から眼科的あるいは認知発達的な見地から発達の不具合を早期に検出するという極めて限定した目的を持っている.本研究課題で申請する期間においては,言語的コミュニケーションが不十分な場合でも被験者の眼球運動を定量的に計測する手法を確立することと,その応用例を示すことを採取的な目標としている.特に萌芽的研究の限られた期間内に上記の目標のみをアクション・アイテムとして設定し確実に方法を確立することを目指す. 赤外光による角膜反射光法をとるため薄暗い中で撮影が行えるよう、現有システムに、リモートコントロール可能な赤外線カメラと、複数カメラ間の同期をとるための装置を追加した.さらにXY-tracker(浜松ホトニクス:フレーム内の最明点を検出し、その座標値をXY軸同時にデジタル出力できる)を用い、XY-trackerで追った眼球運動と頭部運動の軌跡を解析することで眼球の移動量や方向などを定量的に測定した。眼球運動の測定に関して初年度は、乳児の注意を教示なしでひきつけることができる視覚刺激ならびに聴覚刺激の作成、眼球運動に呈示刺激をスーパーインポーズしてより明解にビデオ録画するための装置の工夫、実験用チャイルドシートの制作などを行った.月齢2ヶ月から12ヶ月の乳児を中心に、検討を加え、原初模倣の消失や延滞模倣の出現などの行動との関係を検討した.
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