研究概要 |
本研究は、0歳から3歳までの集団保育での縦断的な行動観察をもとに、乳幼児の対人行動を予測する行動指標を見出すことを目的としている。平成18年度は、研究の初年度ということで、研究計画に従い、観察保育園の0歳児の保育室にビデオカメラを2台取り付け、研究者または大学院生による観察と合わせて週1回、決まった曜日の午後の自由保育場面における乳児の行動を観察した。また、保育士へのインタビューをもとに、各乳児の特徴を記述してきた。 これに加え、0歳児クラスから2歳児クラスまでの3年間を有効に生かして行動指標探索をするために、より年長のクラスの子どもの観察を行うパイロット研究をする必要性を感じた。そのために、0歳児クラスの子どもの観察と並行して、別の園の1歳児クラスの子どもを対象に、週1日午後の自由遊びの時間に観察を行った。この1歳児クラスでの観察データの分析を行うことで、1歳半から2歳過ぎにかけての子どもの行動特徴を把握することができた。行動特徴としては、子どもの(1)指さし(何を意図して指さししているか)(2)視線(保育士や他児を見ているのか、ものを見ているのか)(3)接触行動(保育士や他児へ自ら接触するか)について分析を行った。その結果、指さし、視線、接触行動のどれについても、行動の生起頻度が2歳前後の9名の園児の間で個人差が大きいこと、2歳前では、体のバランスが悪く、定まらない視線や意図しない接触が多いが、次第に減少し、2歳過ぎになると、自分の関心のあるものをしっかり見たり、触れたりすることができるようになることが観察された。以上の研究成果は、平成18年度の発達心理学会で発表された(相良・村田,2007;村田・相良,2007)。
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