研究概要 |
本研究は、0歳から3歳までの集団保育での縦断的な行動観察をもとに、乳幼児の対人行動を予測する行動指標を見出すことを目的としている。 平成19年度は、研究の2年目に当たる。研究計画に従い、観察園で0歳児クラスから進級した1歳児クラスの保育室にビデオカメラ2台取り付け、研究者または大学院生による観察と合れせて週1回、決まった曜日の午後の自由保育場面における乳児の行動を観察した。さらに、この観察と並行して、別の園で2歳児クラスの子どもの観察を週1回、午後の自由遊びの時間に行い、パイロット研究として位置づけた。昨年度から引き続き、行動指標として、(1)指さし(何を意図して指そししているか)(2)視線(保育士や他児を見ているのか、ものを見ているのか)(3)接触行動(保育士や他児へ自ら接触するか)について分析を行った。指さしについては、2歳児クラスでの観察データをもとに指さしの機能について検討し、先行研究において母子の相互交渉の中で見出されている分類に加え、集団保育に特微的なカテゴリーを新たに見出すことができた。この成果は論文にまとめ、国際幼児教育研究に投稿し、「1歳保育園児の自発的指さし行動」(村田・相良,2007)として掲載された。 また、視線、接触行動についても、5名の園児を対象に、1歳3ヶ月、1歳6ヶ月、1歳9ヶ月間の3時点での行動を分析した。その結果、月齢が上がるにつれ他児を見る頻度が増加し、保育士と自ら積極的にかかわりをもつことが多くなる傾向が見出されたが、視線を向ける対象にしても、また保育士への接触頻度においても個人差が大きいことが示された。この成果は、平成19年度の日本発達心理学会で発表された(相良・村田,2008;村田・相良,2008)。さらに、視線の移りやすさを行動指標として分析に加え、その成果を日本日達心理学会の分科会である発達基礎論分科会講会演で発表した。
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