研究課題
本研究の目的は、日本のカウンセラーの性的指向に関する知識と心理的支援の技術向上であった。平成21年度には、これまでの3カ年(うち産休・育休による中断あり)の研究成果のまとめと公表、他の研究者からの研究成果に対するフィードバックを受けることを中心に行った。(1)研究成果のまとめとしては、昨年アメリカ心理学会で日本でのLGB(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル)に対する認識・知識についての発表を行い、それについての討議をDeBord博士・Worthington博士らと行ったので、それをもとに、研究代表者が開発したLGB Sensitiveカウンセラー養成プログラムの実践についての発表を日本心理臨床学会で行った。その結果、日本のLGB研究者たちとの活発な討議を行うことができた。また、日本での心理療法に関する内容を国際的なHandbookにまとめることもできた。(2)他の研究者からの研究成果に対するフィードバックについては、日本国内のセクシュアル・マイノリティに関する研究者・実践者等との研究会への参加によって意見交換を行ったり、アメリカのセクシュアル・マイノリティの心理療法に関する倫理基準の翻訳を行ったり(2010年発刊予定)、アメリカのセクシュアル・マイノリティの精神療法に関する第一人者であるDrescher博士との討議を行った。これらの研究成果は、日本の現状理解にも役立ち、セクシュアル・マイノリティの方々への心理支援の行う臨床心理士の知識・技術の向上に役立つ意義のあるものとなった。今後は、これらの研究成果をもとに、地域援助の視点からセクシュアル・マイノリティの当事者、その家族・友人への支援の拠点となる場を構築する予定である。
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International Handbook of Cross-cultural Counseling (Chapter 9)(Sage Publications, Inc.)
ページ: 159-172