男女少年院のフィールド調査データの分析からは、少年院の教育が自生的に作り上げてきた、少年の変容を促す多様な実践を、教育学的・社会学的な観点から論理化していく諸研究が進んだ。具体的には、成績評価、生活指導、集団指導、教育プログラム等が、それぞれ、少年たちに反照的な作用を及ぼすメカニズムが存在しており、少年たちは、院内での生活の中で、過去の自分と出院後の自分の姿についての物語を描き直す契機をさまざまに有していることが明瞭となった。「教育効果」それ自体には迫り得ないのが、フィールドワーク調査の限界ではあるが、「少年が変容すること」についての言説資源や、「変容すること」を少年自身に語らしめる契機が、多種多様に用意されていること、そして、施設収容という継続的で連続的な観察可能性が、その資源や契機を少年がどう受容しているのかついての教官側の判断をそれなりに合理的なものとさせている。 また、本年度は、女子刑務所で実施された薬物離脱指導の観察記録をもとにした研究も進展した。受刑者は、刑罰という法的対象として、治療という医療的対象として、矯正という教育的対象として、多重性を帯びた処遇を受けている。この多重性をどういう関係としてみるべきなのかが、矯正のあり方に大きな意味を持つことが、とりあえず明らかになってきている。
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