以前より継続している「長期療養患児とその家族の保育支援」で行っている育児・子育て、子どもの発達、就学前教育に関する相談活動を実施するとともに、今年度は、入院治療中にある夫々の患児が、できる限り乳幼児期に相応しい生活が展開されるよう紙芝居やままごとなど、療養環境を整えながら、研究代表者(岡本)が参与観察者として引き続き臨床現場の分析を実施した。 その結果、それら室内遊具等を用いた遊びが患児と母親、患児同士の間で展開されるケースが見られ、単調になりやすい入院生活に多少の変化が加わった。殊に、母親が「遊び」そのものを懐かしがり、我が子との遊びにとどまらず、入院患児の母親同士の間で、手を動かせながらの思い出話が弾むなど、母親自身の気分転換に用いていた姿があった。これは母親にとって息抜きとなり、患児の情緒へもよい影響をおよぼすことに繋がっていった。 また、一連の変化は、看護師等の医療従事者にも徐々に波及し、入院中の患児には、どのような生活を保障することが求められているのか、そして、退院後、夫々の日常生活にスムーズに移行していくためには、何が必要であるのか等を、考える機会を与える一助となったようである。 さらに、研究分担者(山口)の見解を取り入れながら議論を重ねていった中で、長期療養患児の生活の現状、及び、それが抱えている中・長期的課題点などが明らかになってきた。
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