中間年に当たる平成19年度は、主に次の3つの活動を実施した。 1)専門機関等での聞き取り調査及び文献収集 日本ホリスティック教育協会事務局など、国際理解関連の研究機関等を訪れ、また国内外における集会や国際会議等への参加を通して資料収集及び専門家への聴き取り調査を行った。聞き取り調査には、前フリンダース大学国際教育研究所長のG.R.ティーズデイル氏をはじめ、ホリスティック・アプローチを提唱する実践者や専門家から多くの示唆をいただいた。海外調査については、予算の制約及びグローバリゼーションの影響を確かめる必要性のため、欧米ではなく中国などアジア諸国で行った。海外調査では、国際理解教育と関連する持続可能な開発のための教育(ESD)や国民総幸福(GNH)などの貴重な文献も入手することができた。 2)理論枠組みの作成へ向けた作業 従来の国際理解教育と異なる新たな国際理解教育との差異を構造的に明らかにすることを試みた。グローバリゼーションの時代文脈、すなわち、理解を超えた他者との共存・共生を視野に入れた授業実践のための理論枠組みについても吟味し、講師を招いた研究会を7回ほど公開で開催し、各講師から多くの示唆を受け取った。講話は全て録音し、文字起こしし、記録に残した。 3)最終年度に向けた協力依頼 国際理解教育を実践する教師に対し、新たな理論枠組みにおける実践の在り方を検討するための協力を依頼し、高等教育レベルでの実践者には最終年度に研究協力者として協力が得られることになった。
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