本研究は、ワークショップ型授業のメソッドを本格的に社会科の教科学習に導入し、活動中心の単元事例とその授業フォーマットを開発することを目的とする。ワークショップ型授業は「活動」プラス「ふり返り」を基本的な構成要素とする。 本年度の研究成果は、次の3点である。 第1に、ワークショップ型授業における「活動の枠」の特質を明らかにした。それは、(1)子どもが迷い、判断にバリエーションの生まれるトピック(話題、内容)、(2)学習者の自由な交流空間、(3)遊び(楽しみ)の要素、の3点である。これらを「明治維新の人物ランキング」の開発授業を事例に明らかにした。 第2に、ふり返りにおける教師の指導言と学習者の思考内容との関連を明らかにした。ふり返りは、ワークショップの活動体験を「学習化」する重要な局面である。だが、同じ「貿易ゲーム」(天童第二中で実践)の活動をしても、ふり返りにおいて、「用語」を強調した場合と「体験」を強調した場合と全く自由に感想を求めた場合では、学習者の思考した内容が異なることが、生徒の作文から見いだされた。この点は、ワークショップ型の活動体験を評価するにあたり、どのような指導言によるふり返りが望ましいかという課題を示唆する。 第3に、中学1年生を対象にしたワークショップ型授業の単元を開発した。「めざせ豪商!大江戸ビジネスプラン選手権」である(山形大附属中で実践)。この実践から、ワークショップ型授業を支える学習論として状況的学習論が有用であることが示唆された。次年度の課題としたい。 上記の内容は、平成18年度研究成果報告書(平成19年3月)としてまとめている。
|